2019年4月7日日曜日

    アメリカと中国の未来


   
   現在世界は欧州での英国とEU間での分離に伴う経済問題で揺り動いており、
   米国と中国の間で貿易摩擦及び2国間の安全保障問題に関しての覇権を争う
   熾烈な争いに揺り動かされている。 特に上記の日米間の安全保障の問題は
   第4次産業革命のトリガーともなる5世代移動通信システム(5G)と人工
   知能(AI)という先端技術等を含んだものである。 それゆえ解決の結果
   次第では社会組織全体にも及び兼ねない。 米国は資本主義社会であり中国
   は社会主義社会である。 米中間の軋轢の結果に大きな影響を及ぼすものは
   両国の経済成長力であり、その組織の中で育った人達の意識に関与するもの
   かと考える。 混乱した世界では今後の米国、中国の行く末は大切である。

   
    

I アメリカ、中国の貿易に関する問題

(A)貿易摩擦 

貿易摩擦の原因は、アメリカと中国の間での通商貿易から生まれ
巨額の貿易赤字である。 米国はGPの7割を消費が占める
消費大国だと言われている。 旺盛な消費によって消費財の輸入
規模が大きくなり、外国からの輸入は貿易赤字の増加に繋がっ
来る。先進国は労賃も高い 従って生産コストも高くなる。 
為替も先国通貨の信用度が高いために安心して使用され、為替
が高い振れやすい。 
輸出をする場合は不利な立場になてくる。 その様なわけで米
輸出競争では不利で外国の後塵を踏む事になる。


中国は開放改革以来労賃が低かった。 そのため中国は生産コス
が低く、各国は製品の製作を中国に依頼したり、又中国産品を
多く買ったり世界の生産工場と言れる程にまで有名にな
た。 しかし現在ではアメリカIT、バイオ等に関する先進技
術高度化政策(中国製造2025)に助けられて世界12を競う技
術大国に発展している。


米国の貿易収支は1970年代にかけて赤字化し、2017年の貿易統計
よると、現在、対中国赤字は7962億ドルにも達している。 
トランプ大統領の強力な主張、アメリカンファースト、保護主義
の立場からすると、是非ともれは改善したいものであろう。



(B)貿易赤字の解消問題 
                       
トランプ大統領はアメリカが抱える膨大な貿易赤字の削減を、中
から輸入される物品に関税を上乗せする事で減らしてこうと
言う立場に立っている。

中国(500億ドル分)の対米輸出物に25%の関税の上乗せ、又
2000ドル分10%の関税を上乗せした。 これは中国からの
米国への輸出減を招き、中国内での失業者の増加を招いた。 
中国はその対抗措置として、米国から輸入していた農産物に対
抗関税を掛けた為、米国内での農産物の価格上昇を招き庶民の
反感をかっているとも聞く。 この様な措置は米中両国にとっ
早急に解決したい問題のようである。

しかしトランプ大統領の主張の中には、米国と中国の間の貿易
は、WTOの原則に沿うような公正なものではない。それは中
国政府は中国産業に莫大な補助金を出しているからだというも
のである。 しかしトランプ大統領のこの主張は、中国の政治
体制の本質に関する問題である。 中国の政治体制の変革を
要求することになる。 それは下記Ⅲに示す考えによるもので
ある。


もう一つの問題はアメリカ対中国の安全保障に関する問題である。


Ⅱ アメリカと中国の安全保障に関する問題

スマホの性能が画期的に向上できる時代に入って来た。 5G時
(5世代移動通信システム)と呼ばれている。 現在我々が使
用しているスマホは4G時代と呼ばれる事になる。

少々物騒な話になるのが米国と中国とのハイテク覇権に関与する
である。 現在のハイテク技術は、一歩間違えば軍事力の争い
にも繋がりかねない話である。 例えば全世界で何百億個のコン
ピュータが結合され、ネットに繋がれてサイバー空間が形成され
ている。 
サイバー空間は、グローバル済の発展に大きな寄与をした。 
しかしIT素子の発展、ソフト技術の進歩は、サイバー空間を通
ての戦略的攻撃(サイバー攻撃)の可能性をも示している。 
始めに被害を受けたのはイランの核施設である。 数千台の遠心
分離機(核物質精製用)をコントロールするコンピュータのプロ
グラムが改変された。 遠心分離機の回転速度が変速され、1000
台程の遠分離機が壊され、核計画は大きく遅れた。
5G時代に入って、サイバー攻撃の分野は更に広くなり、発電
所・交通等々社会の全分野に及ぶ事になる。

5Gの革新的な特徴は 
1)通信速度が超高速
    現在の移動通信システムより100倍高速な通信を実現。
2)超低遅延
遠隔でもリアルタイムで建機やロボットを遠隔操作できる。
  移動中でも遠隔医療手術ができる。自動運転技術。
3)多数同時接続
スマホやパソコンだけでなく、家電やセンサー等、身の回り
あらゆる機器がネットに接続できるIOT (Internet of
 things)の広大な広りには欠かせない。
注)1)~3)は総務省解説によるものである。



5Gの浸透に伴い世界はどのように変わって行くだろうか。 
5Gによるプロセス全体の自動化を想定しているのが工場、製
造、オフィスや、建設、土木そして農林水産業の分野等々であ
る。今迄各所に分散され、各所では自動化されていた。 その
各々が、5Gにより情報のやり取りがなされ、全体で最適化さ
れれば、社会形態が大きく変って行く事が予想される。 
さらに人口知能の急速な発展が伴っている。     

5Gと人工知能(AI)の発展と相伴って、グローバル視点の技
術革4次産業革命の引き金となる。 しかし各国での
革命の進展度合いはそれぞれ異なるだろう。

全世界の産業構造のみならず、生活全般を激変させかねない時
に、各国が神経を尖らせるのは当然だろう。

 
特に最近の報道においては、中国での急速なハイテク技術の進展
取り上げられている。 大きな波が津波の様な勢いで押し寄せ
る時は、国全体が一体となって対処しなければならない。 それ
が出来る国が有利な国ではないのか。 その点、中国はグローバ
ル世界での活躍は資本主義的である。 がしかし中国全体を社会
主義国として支えているものは、中国共産党の確固たる方針であ
る。 中国の経済活動も又共産党大会のスローガン、全国人民代
表大会(全人代)の実行路線に沿って行動するのが一番働き易
ように思われる。 
社会主義国である中国がどのように活躍するのか興味あるところ
ある。上記の様な考えから十分一体と成りうる国ではなかろう


 
一方、アメリカは長い間資本主義の総本山として世界をリードし
来た。多様性の中、様々な発想発明に恵まれ、多くのイノヴェ
ーションに支えられてきた。 現在、経済的格差、アイデンティ
ティ格差(人種、宗教等々)に足を引っ張られながら、世界一豊
かな国として世界に君臨している。 

グーグルは世界で一番高名な先端企業で、自動運転の分野では知
ない人はいない。アツプル社、アマゾン等、先駆的企業は殆ど
アメリカのグローバル企業である。 シリコンバレーには,多く
の先端企業であるベンチャーが存在する。

最近問題になっているのは、これ等の企業で働いていた中国人従
員が帰国し、自国での先端技術の向上に寄与していると言われ
ている。 中国は ‟中国製造2025”という国策を通して先端技
術の発展を大きく支援している。

この様な中、米国当事者は中国のハイテク技術の急速な進展に警
感を露わにしている。

 ‟しかしアメリカでは、中国とハイテク覇権争いが起きていると
う共通認識がありません。この事を伝える事から始めなくては
ならない”(米国防総省 マイケル ブラウン氏 NHK-米中
‟未来の覇権争い”が始まったより)


資本主義社会の中で生死をかけた争いの中にあった起業家達は、
会主義国家の起業家とは当然異なるものだと思う。




万里の長城   (大串 昭子 1999年 撮影)



Ⅲ 中国の社会体制

中国は独自な社会体制をとている。 それまでに至る経過を見
と、1949建国した中国は、毛沢東による共産主義革命に
よって生まれた国である。 それ故、その後の中国は計画経済
制度であた。 良く言われる様に、最初は極貧状態と言ても
良い状況にあ国である。

それは計画経済の欠点として指摘される様に、市場経済に比べ
率の悪さ、生産性の低さ、個人の意欲の低下の欠点が避けら
れない為であった

上記の状態を脱する目的もあ1978年、鄧小平を中心とする指
者によて改革開制度が採り入れられた。 それは社会主義
体制の枠の中に資本主義制度が導入されたことである。

この制度は中国を大きな発展へと導いた。 政治的には中国共産
と呼ばれる共産主義者集団に導かれている。 中国は約13億の
人口を抱えている。共産党はその内1億あまりで、主に共産党員
で組織された最高の意思決定関が中国共産党である。 国家
主席をトップに、その下には7名の政治局常務委員、政治局員委
25名等による独裁制度である。 大きな中国の政治的流れは中
国共産党大会によって決められる。 その大会は5年に1度の割
合で開会されている。更に全国人民代表大会(全人代)が国家権
力機関として設けられていて、こちらは1年に1度だけ開催され
る。
中国の経済的な制度は、アメリカ、ヨーロッパと同じで、個人資
からなる株式会社もあれば、私立銀行もある。 更に資本主義
国家間のスムーズな貿易取引の指針を示すWTOにも参加
20011110日加盟)していて自由な交易の道が、外国とも開
かれている。

中国の経済は、お互いの間の資本主義的競争制度という厳しい制
度は残されている。しかし中国の場合は共産党大会で決められた
スローガン、国家予算又現在最も重要だと思われる分野への補助
金、国家投資資金等を通して経済の流れも、社会主義的方向にコ
トロールされていると視るべきではなかろうか。 国立銀行な
ども初期の数からかなり減少したし、国立の製鉄所の破産もあっ
た。
中国の構造が国家資本主義と呼ばれる所以である。 
これが今、中国が西洋資本主義国を追い越し乍ら世界第2の
にまで発展してきた理由だと考えられる。しかし多様性は無く
てはならない重要なファクターである。 我々は第二次世界大戦
の悲劇を通してこの事を良く知っている。完全に統一化された
ドイツが、全世界を蹂躙した事実である。 しかし又、現在の
ヨーロッパ諸国を見ると右翼政党の台頭が多く、自国内の発展の
みを考えるポピュリズムに憧れる国も多い。

又純粋な資本主義国も、極端な格差に足を取られ急速な発展が阻
れているアメリカの様な国も多い。

今、世界は混乱の中にあって一概にはその解決の道を見いだせな
状態に陥っていると考える人は多いのではなかろうか。


この様な混沌の時代は歴史的に経験した何時か来た道でもある。